任意整理とは?仕組みとデメリットを司法書士が解説

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ここでは、実際に債務整理業務を担当する司法書士が、任意整理の仕組みとデメリットを解説します。

任意整理とは?

任意整理の仕組み

「任意整理」とは、弁護士や司法書士を代理人に立てて債権者(消費者金融やカード会社など)と交渉することで、借金の返済をしやすくする手続きです。

任意整理をすると、どのような仕組みで借金の返済がしやすくなるのでしょうか?

ポイントは、「利息のカット」、「分割払い」の2つです。

説明を分かりやすくするため、消費者金融A社から、50万円を返済期間5年・利息年率17.8%で借りた場合を例にとります。

借入額(元金) 返済期間 利息(年率) 返済総額 返済月額
50万円 5年(60回) 17.8% 約75万8000円 約1万2400円

※「返済総額」「返済月額」は消費者金融会社のWEBサイト内の、返済シミュレーターを利用して試算しました。

任意整理の特徴とメリット

<ポイント1>

「利息カット」で返済総額が少なくなる!
借金には一般に「利息」が掛かります。「利息」は借金の本体である元金に対して発生するもので、A社の利益になるお金です。

上の表では、借りた金額(元金)は50万円なのに、借金を完済するまでに返済しなければならない総額は75万8000円と、元金よりも25万8000円も多くなっています。

これは、元金50万円に対して、返済期間5年の間に、年率17.8%の利息が毎日発生するためです。

利息が発生すると、毎月の借金の返済をしても、その一部は利息として支払っていることになるため、借金本体である元金はなかなか減りません。特に、A社のような消費者金融の場合、利息が年率15%~18%程度と高く設定されているためなおさらです。

任意整理では、依頼を受けた弁護士や司法書士は、A社との間で利息をカットするよう交渉します。

交渉がまとまり利息カットに成功すれば、それ以降は元金だけを返済していく形となります。これにより、場合によっては、完済までの支払い総額が、大幅に少なくて済みます。

上記の例でいえば、任意整理をしなければ、50万円の借金を完済するのに75万8000円を支払う必要がありますが、任意整理を行って利息カットに成功すれば、50万円だけを支払えば借金を完済できますので、25万8000円も返済総額が少なくなるのです。

<ポイント2>

分割払いで毎月の返済額が少なくなる!

さらに、任意整理では、依頼を受けた弁護士や司法書士は、利息をカットした借金を、長期間の分割払いで返済できるように交渉します。

任意整理をした際の分割払いの回数は、36~60回に設定する事が多いです。長期の分割払いを設定することにより、多くの場合、毎月の返済額が減少します。

メリットのまとめ

以上のとおり、利息のカットにより完済までの支払い総額が減少し、分割払いによって毎月の返済額が減少することにより、借金の返済負担を軽減して、借金完済までたどりつける可能性を高めようというのが、任意整理の仕組みです。

任意整理のデメリット

上記のとおり、借金の完済を目指すには大きなメリットがある任意整理ですが、デメリットはないのでしょうか?

もちろんデメリットは存在します。

①「ブラックリスト」について

任意整理をすると「ブラックリスト」に掲載され、それ以降一時的に借金ができなくなります。消費者金融などの貸金業者は、法律で、指定信用情報機関に加入する義務を負っており、顧客の信用情報に変更があった場合には、その変更内容を提供しなければなりません。

A社に対して任意整理を行うと、A社と当初交わした約束通りの借金の返済をストップすることになるため、A社から指定信用情報機関に情報提供がなされ、信用情報機関がその登録を行います。

これにより、消費者金融であるB社に対して借金の申込みをしても、B社は指定信用情報機関の登録情報を通じて、A社に対して約束通りの返済を行っていないことが分かるため、融資をすることを拒否します。

このような、「約束通りの借金の返済を行っていない」などの情報(=事故情報)は、俗に「ブラックリスト」と呼ばれており、債務整理を行った場合、完済から5年~10年程度保存されます。その間は下記が難しくなります。

  • 各種のローンの利用(自動車ローン、住宅ローンなど)
  • 消費者金融からの借金
  • クレジットカードの契約
  • 携帯電話端末代金の割賦払い

②任意整理には、相手方の同意が必要!

<任意整理には強制力がないこと>

デメリットの2つ目は、任意整理には強制力がないことです。

自己破産や個人再生であれば、裁判所が認めることにより、強制的に借金の支払義務が無くなったり、借金が圧縮されたりします。

しかし、すでに記載したとおり、任意整理は代理人がA社と交渉して、交渉が成立すれば利息のカットや分割払いといった、借金の返済が軽減される仕組みです。

交渉が成立するには、こちらが提案する条件にA社が同意する必要があります。

しかし、提案に応じる法的義務があるわけではありませんので、提案内容を拒否もできるのです。

実際に、取引期間が極端に短かったり、高額の借入れをしてからすぐに任意整理をしたりすると、交渉に応じてもらえないケースもあるようです。

また、数年前までであれば柔軟に任意整理に対応していた業者でも、利息の全額カットには応じない、分割払いの回数は3年(36回)までしか認めないといった、以前より厳しい態度で交渉に臨むところが増えているのが近年の特徴です。

このように、任意整理で借金の返済の軽減を受けるには、相手方の同意が必要です。相手方は、同意をする義務があるわけではありませんので、最悪の場合、せっかく費用をかけて任意整理を依頼したのに、借金の返済軽減が受けられなかったということになる可能性があります。

任意整理のデメリットまとめ

以上のとおり、任意整理をするとブラックリストに登録され新しく借金をできなくなります。また、任意整理は貸金業者の同意がなければ成立しないので、必ず借金の返済軽減が受けられる保証はありません。

まとめ

任意整理のメリットとデメリットを把握しておこう

以上のとおり、任意整理には大きなメリットがある一方で、デメリットもあります。借金の返済に困った場合に任意整理を行うかどうかは、このメリットとデメリットの比較を十分に行って決定すべきです。また、自己破産や個人再生といった他の手続きとの比較も欠かすことができません。

このような比較・決定を、一般の方がご自分で行うのは非常に難しいものと思われますので、まずは親身になって相談に乗ってくれる専門家を探すところから始められることをおすすめします。

記事監修 宮城誠

司法書士法人みつ葉グループの代表司法書士。従業員数100名、札幌、東京、大阪、広島、福岡、沖縄にもオフィスがある。

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