借金に時効はある?時効援用の条件について解説

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借金にも時効があります!

債務整理の専門家が解説する借金の時効条件

「時効」という言葉を聞かれたことがあると思います。

「時効」(消滅時効)は、一定の条件を満たすと、権利が消滅するという制度です。

実は、お金を貸した側(債権者)の「お金を返せ」と請求することができる権利にも、時効があります。お金を借りた側(債務者)からすると、時効が成立すれば借金を返済する義務がなくなります。

では、どのような条件を満たすと、時効により借金の返済義務がなくなるでしょうか?
(※ 本稿は、2019年4月21日現在の法律の規定に従って記載しております。その後の法改正等には対応しておりませんので、ご注意ください。)

借金が時効になる3つの条件

1・時効期間の経過

時効が成立するには、一定の時間が経過していることが必要です。では、いつからどれだけの時間が経過していればよいでしょうか?

⑴ 時効期間

時効が成立するには、一定の時間が経過することが必要です。この時効が成立するために経過する必要がある時間のことを、「時効期間」といいます。
  
時効期間は、債権者(お金を貸した側)が商法上の「商人」に該当するかどうかで異なります。
具体的には下記のとおりです。(いずれも、債務者は一般の方という前提です。)

債権者が商人に該当する場合

債権者が銀行、消費者金融、クレジットカード会社、保証会社等
  ⇒ 時効期間は5年

債権者が商人に該当しない場合

債権者が住宅金融支援機構、信用金庫、信用組合、信用保証協会等
  ⇒ 時効期間は10年

※商人以外に債権の種類によって時効期間が違います。時効が完成しているかも。と思っている方は弁護士、司法書士に相談しましょう!

≪ポイント≫

時効期間は大きくわけて、5年と10年

⑵ 時効の起算点

時効期間のスタートする時点を、「時効の起算点」と呼びます。 具体的には下記のとおりです。

債権者が銀行、消費者金融、クレジットカード会社などの場合

時効の起算点:最終取引日(最後の借入れ又は返済をした日)
※ 厳密に考えると難しい問題を含みますが、最終取引日と考えておけば問題ないケースがほとんどです。

近年、銀行のカードローンで、保証会社がついている商品をよく見かけます。(カードローン契約の約款や契約書に記載されていますので、ご確認ください。メガバンクも含め、銀行の無担保のカードローンはほとんどが該当します。)

このようなカードローンでは、もし債務者が借金の返済を怠ると、保証会社が銀行に対して、債務者に代わって借金の元金全額・利息・損害金を一括で返済します。(これを「代位弁済」といいます。)

そして、それ以降、代位弁済をした保証会社が、債務者に対して「肩代わりしたお金を返せ」と請求することになります。

この場合、消滅時効の起算点は、保証会社が代位弁済をした日になります。(当初の借入先である銀行との最終取引日ではありませんので注意が必要です。)

債権者が保証会社の場合

時効の起算点:代位弁済をした日

≪ポイント≫

時効期間のスタート時点:「時効の起算点」

  • 債権者が保証会社以外の場合:最終取引日
  • 債権者が保証会社の場合:代位弁済日

⑶ 時効期間まとめ

時効成立ために経過する必要のある時間の考え方は下記のとおりです。
• スタート:時効の起算点
• 必要な時間:時効期間
• ⇒「時効の起算点から計算して現在何年経過しているか?」を考える。

2・中断事由がない

自己破産や競売

せっかく経過した時効期間がリセットされて0に戻ってしまう原因(その事由)を、時効の「中断事由」といいます。

中断事由がないことが、時効が成立するための条件になります。では、時効の中断事由にはどのようなものがあるでしょうか?

⑴ 裁判上の請求

債権者が債務者を相手取って、「貸した金を返せ」という内容の裁判手続きを行った場合です。裁判手続きですが、通常の訴訟を起こした場合の他、支払督促、和解の申立て、調停の申立てなども該当します。

また、裁判上の請求で時効が中断すると、その後の時効期間は、債権者が商人であっても10年になりますので注意が必要です。

⑵ 催告(裁判外の請求)

裁判を起こさずに、「貸した金を返せ」と請求することです。

請求の方式は法律で決まっているわけではありませんので、郵便・電話・メール・LINEなど何でも該当します。ただし、後日のための証拠保全の観点から、郵便(特に内容証明郵便)によるのが一般的です。

催告は、それだけでは時効期間をリセットすることはできず、時効期間の完成が最大で6か月間延長されるだけです。したがって、確定的に時効期間をリセットする場合、催告の日から6か月以内に裁判上の請求などを行うことが必要です。

⑶ 差押え、仮差押え、仮処分

債権者が債務者の財産を差押えた場合などです。

⑷ 債務の承認

債務者が債権者に対して、借金があることを認めるような行動をした場合です。

  • 「借金を支払いします。」ということを書面や口頭で伝える
  • 分割での支払いの約束をする。
  • 借金の一部を返済する

などが該当します。

上記の⑴~⑶は、債権者側が行う行為で、債務者の側からは防ぎようがありません
しかし、この債務の承認は債務者側の行為ですので、注意すれば避けることができる場合があります。

具体的には、しばらく借金の返済をしていない状況で債権者から手紙が届き、慌てて連絡をして借金を支払う意思があることを伝えてしまう等、安易に債権者に支払い意思を示す行為には十分注意しましょう。

≪ポイント≫
時効期間がリセットされる原因:時効の「中断事由」は4種類。

  1. 裁判上の請求
  2. 催告
  3. 差押えなど
  4. 債務の承認

の4種類。特に「債務の承認」は該当してしまう方が多いので注意。

時効の中断事由の考え方

上記のような時効の中断事由に該当するような事実が、時効の起算点から時効期間を経過して現在までにあったかどうかを考えて、なければ時効が成立していることになりますし、あれば時効期間がリセットしていて時効が成立していないことになります。

3・時効の援用

実は、消滅時効で借金の返済義務がなくなるためには、「時効の援用」が必要です。

⑴ 時効の援用とは

「時効の援用」とは、債務者が債権者に対して時効が完成したことを通知して、時効制度を利用する意思を伝えることです。

「時効期間の経過」「中断事由がない」という、これまでに掲げた消滅時効の要件を満たしていても、自然に借金の返済義務がなくなることはありません。

なぜなら、時効の条件を満たしていたとしても、「自分は借金の返済をしたい。」と考える人がいる可能性があり、そのような人に対して借金の返済義務がなくなるという時効の効果を押し付けるのは適切でないからです。

そこで、債務者が時効の援用をしてはじめて、借金の返済義務がなくなるという時効の効果が発生するという仕組みになっています。

反対にいえば、仮に最後に借金を支払いしなければならなかったときから5年経過していたとしても、「消滅時効が成立している」と安心してはいけません。必ず、時効の援用を行う必要があります。

⑵ 時効の援用の方法

時効の援用は、どのような方法で行わなければならないという決まりはありません。
ですので、電話(口頭)で伝える、FAXを送る、普通郵便で送る、EメールやLINEを送るなど、いずれも有効です。

しかし、時効の援用によって、借金の支払義務がなくなるという大きな効果が発生しますので、後日、きちんと時効の援用が行われたかについて債権者・債務者の間で争いになることが十分想定されます。

したがって、証拠保全の観点から、時効の援用は、内容証明郵便を利用するのが一般的です。

≪ポイント≫

時効で借金の返済義務を無くすには、「時効の援用」が必要。
方法は内容証明郵便がベスト。

借金の時効についてまとめ

一度、専門家に相談しましょう

以上、借金の時効の条件を見てきました。
プロである貸金業者が時効になるまで(最低5年間)も、何も対応しないということが実際にあるの?と疑問に思われる方もいると思います。

しかし、私も日常の業務の中、でたくさんの借金の時効が適用になる方を見てきました。
しばらく借金を払っていなかったが、久しぶりに業者から手紙が届いてどうしてよいか分からないという方は、一度専門家にご相談ください。

記事監修 松木勇作

そうや法律事務所松木弁護士

浅草橋・秋葉原にある弁護士法人そうや法律事務所の代表弁護士。債務整理の相談も多い。無料相談の場合は電話でお問い合わせください。