自己破産すると生活はどうなる?事前に知っておくべき4つのこと。

384

自己破産に対して悪いイメージを持ちすぎてませんか?

自己破産の特徴を司法書士が解説します

「自己破産」という言葉を、お聞きになったことがあると思います。

ドラマや映画、小説などの影響からか、「無一文になる」「財産を没収される」「身ぐるみをはがされる」「路頭に迷う」「仕事をクビになる」…といった暗いイメージを抱く方が多い言葉です。

しかし、自己破産は裁判所の許可を得ることで借金の支払義務がなくなる債務整理の手続きで、任意整理や個人再生でも借金を整理することができない場合の最後の手段であり、本来悪い意味合いの含まれるものではありません。

今回は、自己破産をすると生活がどうなってしまうのか?仕事や財産についてどうなるのかを実際に債務整理業務を担当する司法書士が、説明させていただきます。

自己破産後の生活上の4つの変化

1.新たな借入れができなくなる

自己破産に限らず、債務整理をすると新たな借入れをすることが難しくなります。これは、信用情報機関という、銀行や貸金業者が貸出しの審査をする時に情報を照会する機関に、債務整理を行った情報が登録されるためです。

登録されている期間は5年~10年で、その間は新しくクレジットカードを作る、消費者金融や銀行でカードローンの契約をする、自動車ローンや住宅ローンを組むなどが難しくなります。

また、携帯電話の端末代金の分割払いは、一般的にカード会社による立替払いですので、端末代金を一括で支払いするのでなければ、スマホの機種変更をすることも難しくなります

≪ポイント≫

自己破産に限らず債務整理をすると5年~10年間は新しく借金ができない。
携帯電話の機種変更の分割払いも難しい。

2.職業は?仕事は続けられるの?

自己破産をすると「仕事を続けられない」・「勤務先をクビになる」というイメージをお持ちの方がいます。本当でしょうか?

答えは、破産する方の職業によります。

下記のような、自己破産すると欠格事由に該当するなどと、法律の規定で定められてる職業は、自己破産をすると続けることができません。
 
ただし、やめなければならない期間は、通常、自己破産の手続きの開始の時(破産手続き開始決定時)から手続きが終わる(免責許可決定の確定)までですので、その後に改めて、このような職業に就くことは可能です。

<自己破産により影響を受ける職業>

  • 士業(弁護士・公認会計士・弁理士・司法書士・土地家屋調査士・不動産鑑定士・税理士・社会保険労務士・行政書士・ 宅地建物取引士 など) 
  • 証券外務員
  • 貸金業務取扱主任者
  • 質屋
  • 生命保険募集人・損害保険代理店
  • 警備員
  • 風俗営業の営業所管理者
  • 調教師・騎手 など

逆に言えば、上記のように自己破産が欠格事由と定められているような職業についていなければ、自己破産をしても仕事に影響はありません。世の中の多くの職業はこちら該当するため、結果的に、自己破産をしても職業に影響がない場合がほとんどです。

また、職業ではありませんが、以下のような地位についている方が自己破産をする場合は、これらの地位をやめなければなりません。

  • 会社の取締役・監査役 
  • 代理人 
  • 後見人 
  • 後見監督人 
  • 保佐人 
  • 補助人 
  • 遺言執行者

≪ポイント≫

自己破産をすると、手続き中は一定の職業には就くことができないが、該当する職業はあまり多くはない。

3.財産はどうなるの?

自己破産をすると、「財産を没収される」といったイメージをお持ちの方が多いです。果たして本当でしょうか?

実は、一般の消費者の方が破産する場合は、財産が没収されることはあまり多くありません。

⑴ 自由財産

破産しても持ち続けることができる財産を、「自由財産」といいます。
   
99万円までの現金(預金は含みません)や家財道具は法律の規定により自由財産と決まっています。またこれ以外の財産でも、現在売却したりお金に換えたりした場合に20万円以下にしかならないような財産は、自由財産に含まれるものとする取扱いが多くの裁判所でなされています。

したがって、

  • 99万円までの現金
  • 家財道具
  • 残高20万円以下の預貯金
  • 中古車買取査定額が20万円以下の自動車
  • 解約してもお金が戻ってこないような保険

などは、自己破産をしても没収されることはなく、そのまま持ち続けることができます。

反対に、お金に換えた場合に20万円を超えるような財産は手放さなければなりません。

  • 不動産
  • 新しい自動車
  • 上場株式
  • 投資信託
  • 積立型の生命保険
  • 預金等で残高20万円を超えるもの

などは、お金に換えられて債権者への配当に充てられます。

一般の個人の方が自己破産しようとする場合に、上記の手放さなければならない財産に該当するような財産をお持ちのケースはあまり多くありませんので、結果的に、自己破産をしても財産はそのまま持ち続けられる場合が多くなります。

≪ポイント≫

自己破産をしても、身の回りの財産を没収されるケースはあまり多くない。

⑵ 自動車のローン

ローンが残っている自動車は、上記⑴とは別の理由で手元に残すことができない可能性が高いです。

というのも、一般的な自動車ローンの契約では、「ローンを完済するまで自動車の所有権はローン会社が持っていて、ローンの返済を怠るとローン会社は自動車を売却して代金を返済に充てることができる。」という内容が盛り込まれているからです。

そして、任意整理と異なり、自己破産では、ローン会社だけを手続から外すということができないため、自己破産をしようとする場合、必ず自動車ローンの返済をストップすることになります。
 
従って、どんなに古い自動車であっても、ローンが残っている場合、その自動車は手元に残すことができません。

≪ポイント≫

自己破産をすると、ローンの残っている自動車は没収される。

4.自己破産したら周囲にバレる?

自己破産をすると、世間から後ろ指をさされるようなイメージをお持ちの方も多いと思います。果たして本当でしょうか?

⑴ 官報

自己破産をすると、官報という政府が発行している新聞に住所と氏名が掲載されます。

官報はお金を出せばだれでも買うことができますし、インターネットでバックナンバーを見ることもできるので、官報を原因に自己破産したことが周囲にバレてしまう可能性はあります。

しかし、実際には、一般の方で官報を定期購読している方はほとんどいません。従って、官報の記載をきっかけに自己破産をしたことが周囲や職場にバレてしまう可能性はあまり高くありません。

≪ポイント≫

自己破産をすると官報に住所氏名が載る。
しかし、官報が原因で周囲に自己破産したことがバレる可能性は高くない。

⑵ 勤務先や知り合いからの借入れ

比較的大きな企業で働かれている場合に、福利厚生の一環で従業員に対する貸付制度がある場合があります。

中小企業で働かれている場合に、社長さんとの個人的な人間関係に基づいて、会社や社長さんからお金を借りている場合があります。また、同僚・友人・親戚からお金を借りている方もいます。

このような場合、会社や社長さんや知人からの借入れも、破産の手続きにおいては、貸金業者からの借入れと全く同様に扱う必要があります。

具体的には、自己破産の手続きを依頼した専門家から通知文書(受任通知)を出してもらって返済をストップした上で、自己破産の申立てをする際には裁判所に勤務先・知人からの借金も申告して、裁判所の手続きに組み込んでもらうことになります。

したがって、当然、自己破産をしたことが借入先である勤務先などにバレることになります。

また、それだけでなく、自己破産の手続きが問題なく進めば、勤務先などからの借入れは、その他の貸金業者などからの借入れと同様に支払い義務がなくなりますので、結果的に勤務先などからの借金を踏み倒す格好になります。

このような、勤務先などに自己破産がバレること、勤務先などからの借金を踏み倒して迷惑が掛かることを恐れて、勤務先や知人の借金だけを自己破産の手続きを専門家に依頼する前後で返済してしまおうと考える方がいますが、自己破産の手続きの中で極めて不利になりますので、絶対にやってはいけません。

≪ポイント≫

勤務先や知人から借入れをしている場合、借入先には自己破産のことがバレる。
勤務先や知人の借金だけを返済するのは絶対にダメ!

自己破産しても大きな影響がない場合は多い

借金返済で悩んでいたらまずは専門家に相談しよう

以上、自己破産をする場合に生活に及ぶ影響を見てきました。結論としては、一般的にはあまり影響は大きくない場合がほとんどです。

ですので、借金問題でお困りであれば、「自己破産」という言葉のもつ何となく悪いイメージに惑わされることなく、これも含めた最適な方法をとるべきです。

そして、どのような方法が最適かは、専門家に相談してアドバイスを求めましょう。